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個人事業主vs法人
2021年5月03日
兵庫県の姫路市で2代目として税理士をやってます毛利です。
今日は、法人成り(個人事業主が法人に成ること)した方がいいのか?
というお話をしたいと思います。
結論とすると、節税目的での法人成りはおススメしません。
↓動画版はこちら↓
「個人事業主vs法人」ということで、対決項目6項目見ていきたいと思います。
個人のまま 法人成り
①信用 ○
②消費税 ◎
③社会保険 ◎
④儲けにかかる税金 △ △
⑤税理士報酬 〇
⑥均等割 〇
①信用『法人成りの勝ち』
以下のいずれにおいても、法人有利といえます。
取引先 … 法人でないと相手にしてくれないところあり
銀 行 … 個人事業は嘘でも事業をやってると言えるのに対し、
法人はお金をかけて法人格を作らないといけないことを考えると
一定の覚悟が図れるので、多少信用度が高いと言える
(既に個人事業で融資を受けている場合は、変わらない)
採 用 … ○○会社と付いている方が「ちゃんとしてそう」なイメージあり
②消費税『法人成りの圧勝』
個人事業主のときの売上が1,000万円を超えていて、既に消費税を納めている
または、来年消費税がかかることになる場合のお話です。
この場合、法人にすることで、改めて消費税の免税期間が最大2年とれます。
つまり、法人にする方が消費税負担を抑えることが出来ます。
③社会保険『個人の圧勝』
社会保険は個人事業主の場合、従業員が5人未満なら加入しなくていいのに対し
法人の場合は、設立と同時に加入する必要があります。
今や税金よりも、この社会保険料の負担の方が明らかに大きいです。
従業員さんへ支払う給与の約15%を会社が負担する仕組みになっています。
つまり、年収400万円の社員さんの場合で言うと、年間60万円の社会保険料
(会社負担分)が生じることとなります。
従業員が5人未満なら、個人事業主のままの方が圧倒的に有利です。
④儲けにかかる税金『何とも言い難い』
所得税(住民税含む)は所得が高いほど税率が上がって最高税率は約55%、
法人税(住民税含む)はほぼ一定で税率は約35%。
この税率だけピックアップして、ネットでは法人にすべきというような記事を
見かけたりします。
しかし、法人にした場合には、自分は会社から給料を貰うことになるため、
そこには結局所得税がかかります。
つまり、個人事業主は「所得税のみ」、法人成りしたら「法人税と所得税」で
比較をしないとおかしいので、単純税率比較はできません。
また、所得が低いケースは個人のままの方が税率が低いこともあり得ます。
いずれにしても、所得1,000万円に満たない状況で法人成りしても、
税金が安くなった実感は得られないと思います。
⑤税理士報酬『個人の勝ち』
一般的に税理士報酬は、個人事業主より法人の方が高いです。
相場的に月1万円ぐらいでしょうか?
法人にすることでコストアップするので、個人のままの方が有利といえます。
税理士が法人成りを勧める理由もここにあります。
⑥均等割り『個人の勝ち』
法人は赤字でも均等割りという地方税がかかります。
資本金とか従業員数によりますが、最低で7万円程度。
個人ならかからない税金なので、個人の方が有利といえます。
以上、6項目見ましたが、影響の大きいのは②と③なので、ここに重きを置いて
比較すべきだと思います。
②は2年間で限定的なのに対し、③はずっと続きます。
なので、節税以外に目的がない場合は、個人のままでいいのではないかと思います。
もちろん、所得がかなり出てて④でのメリットが取れそうな場合は、法人成りもありです。
その場合、事前にシミュレーションしてもらいましょう!
以上!
2代目税理士 毛利進士