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免税事業者はインボイスにどう対応する?|毛利会計事務所
2022年9月27日
兵庫県の姫路市で2代目として税理士をやってます毛利です。
今回は免税事業者はインボイス制度に対してどう対応したらいいのかのお話をしたいと思います。
結論としては、「インボイス登録をするデメリット」と「インボイス登録をしないデメリット」を比較して
デメリットの小さい方を選択しましょうというお話になります。
↓動画版はこちら↓
まず、インボイス制度が何かというところから確認します。
インボイス制度は、令和5年10月から始まる制度で、これが始まると事実上次の線引きがされます。
・インボイス登録をすれば、消費税を乗せてお客さんに請求できて、国にも消費税を納める必要がある。
・インボイス登録をしなければ、国に消費税を納めなくていいけど、お客さんにも消費税を乗せて請求できない。
※今は国に消費税を納めてないけど、お客さんには消費税を乗せて請求できるという
かなりメリットのある状態が作れますが、事実上これがふさがれます。
では、インボイス登録をする・しない、それぞれのデメリットを具体的に見ていきます。
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<インボイス登録をするデメリット>
①消費税を納める必要が出てくる
②(消費税の申告が必要)←自分で申告すれば金銭的デメリットはない
・ ↓↑ デメリットの比較
<インボイス登録をしないデメリット>
①利益が減る可能性がある
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インボイス登録をしないと、利益が減る可能性があるのはなぜか??
皆さんのお客さん層を3区分(Bのみ、Cのみ、BC混合)に分類して説明します。
B・・・皆さんへの支払いを経費で落としているお客さん
C・・・経費にしていない一般個人のお客さん
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■Bのみ(企業のみがお客さんのケース)
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企業としてのお客さんなのでB社として説明します。
めちゃくちゃシンプルに、B社の業績が以下だったとします。
売上 22,000円(内税2,000円)
経費 11,000円(内税1,000円)←皆さんへの支払いだとします
この場合、B社の納める消費税は、2,000円-1,000円=1,000円となります。
ここで皆さんがインボイス登録をすれば、納める消費税は1,000円のままですが、
インボイス登録をしなければ、次のようになります。
売上 22,000円(内税2,000円)
経費 11,000円(内税 0円)←皆さんへの支払いだとします
つまりB社の消費税は、2,000円-0円=2,000円と、増える結果となります。
では、B社がどう考えるかというと、次のアクションに出ることが想定されます。
①インボイス登録をしている業者に仕事を発注するようになる(客離れ)
②インボイス登録をしなければ、消費税損する分値下げの交渉を受ける(値下げ)
こういう構図で、皆さんがインボイス登録をしなければ、自社の利益が減る可能性が出てきます。
一番分かりやすいのは、1社のみから工事の仕事を受けている一人親方の方が、
その取引先からインボイス登録の要請を受けた場合、それを断った時の利益減少を考えると
実質インボイス登録をせざるを得ない状況にもなり得ると思われます。
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■Cのみ(一般個人のみがお客さんのケース)
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具体的な例としては、美容院、塾などが挙げられます。
※中にはこれらを経費で落としている方もいる(企業がお客さんのケースもある)とは思いますが。。
この場合、インボイス登録しなくても、利益が減るケースは少ないと考えられます。
なぜなら、C個人からすると、
11,000円(内税1,000円)でも
11,000円(内税 0円)でも
どっちでもいいからです。
なので、皆さんがインボイス登録をしなくても、お客さんは離れないし、
値下げ交渉にもならないと考えられます。
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■BC混合(企業・一般個人の両方がお客さんのケース)
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具体的な例としては、居酒屋、タクシー会社などが挙げられます。
仕事でもプライベートでも利用する職種のイメージです。
この場合は、一概に判断が難しいです。
シミュレーションをやるとすれば、次の①と②のどっちが大きいかを比べることなります。
①インボイス登録をする場合の消費税納税額
②インボイス登録をしない場合の利益減少額
利益がいくら減少するかなんか読めないですが、仮に1割お客さんが離れたら、、
みたいな想定でシミュレーションすることになります。
以上、ケース別にみてきましたが、ざっくりまとめると、
Bのお客さんが多ければインボイス登録をする、
Cのお客さんが多ければインボイス登録をしない、
という判断になろうかと思います。
2代目税理士 毛利進士