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スーツ代は経費で落ちるのか!?|毛利会計事務所

2022年2月13日

兵庫県の姫路市で2代目として税理士をやってます毛利です。

今日は「スーツ代は経費で落ちるのか!?」というお話をしたいと思います。

結論とすれば、会社の経費にするのは難しいけど、個人事業主の経費することは可能だと思います。

↓動画版はこちら↓

経費になるならないで噂が先行がちな内容なのではないかと思いますが、今日はここを具体的に整理していきたいと思います。

まず、誰の経費にしようとしているのかで考え方が変わってくるので、そこを4つに分けます。

①法人(会社)
②サラリーマン(自腹少なめ)
③サラリーマン(自腹多め)
④個人事業主
※サラリーマンには会社の役員を含みます。

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①法人(会社)
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社長のスーツ代が会社の経費で落ちるかみたいな話ですが、基本的に落ちません。

会社の経費で落とせるものは、当然「会社のもの」である必要がありますが、
社長のスーツは誰のものかで考えると「社長個人のもの」です。

社長交代するときに、スーツを会社に置いていくかというと、そんなことはないですよね。

なので、会社の制服とか社名入りの作業着なら会社の経費と言えますが、
社長のスーツはあくまでも個人のものなので会社の経費にはなりません。

仮に会社の経費で落としていると、税務調査で経費じゃないと言われるわ、社長に所得税かかるわで、
二重に税金取られることがあるので、ご注意下さい。

 

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②サラリーマン(自腹少なめ)
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「スーツは個人のもの」の理屈でいえば、スーツ代はサラリーマンの経費になるはずという話ですけど、
実は経費になってます。

サラリーマンは経費の申請なんかしてないと思いますが、概算で経費が引かれています。

これを「給与所得控除」と言いますが、サラリーマンの所得は「給与の総収入-給与所得控除」で計算されます。

この概算経費は年収によって変わりますが、年収500万のサラリーマンだと、概算経費は何と144万円もあります。

サラリーマンの経費とすると、スーツ代だけじゃくて勉強代とかが挙げられますけど、
144万円も使うことはまぁ考えにくいので、かなり有利に作られてると言えます。

したがって、スーツ代としては落ちてませんが、それ以上の金額が概算経費としては落ちてます。

 

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③サラリーマン(自腹多め)
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サラリーマンは概算で経費が引かれるとお話しましたが、ごくまれに概算経費では
経費を引ききれない方も存在します。
(仕事に必要な資格の勉強を実費でしている方とか)

そういった方を救済するために、概算経費での足らず部分を、実費で引くことが出来る制度があります。
(これを特定支出控除といいます。)

この制度は昔からあるんですけど、全然使われてなくて平成25年に画期的な改正がありました。

何かと言うと、経費に衣服費が明記されました。
衣服費は職場で着用が必要とされる衣服なので、代表的がスーツです。

それまでは、スーツ代は個人の経費にならないという考え方が主流でしたが、
この改正によって「経費にしてええんや」とザワツキました。

ただ、この制度を使ってまでスーツ代を落とすことは稀だと思うので、ここでの話はこれぐらいにしときます。

 

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④個人事業主
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個人事業主も実費を経費で落とすという意味では、③と同じです。

ただ、これまではスーツ代は経費にならないというのが個人事業主でも主流でした。

これには根拠があって、過去にスーツ代が経費にならないのはおかしいと裁判になってるんですね。

昭和49年の裁判なんですが「個人の趣味嗜好によつてかなりの差異があり、
個人的な家事費に属すると解するのが相当である。」という負けの判決が出ています。

これに従って、スーツ代はダメって長らくなってたんですけど、平成25年の③の改正によって
「ええの!?」ってなったわけです。

でもこれはあくまでも③の話、、これを根拠に個人事業主もスーツ代OKと言えるものではないです。

けど、毛利の個人的な意見としては、仕事で使うスーツ代は経費にしてええんちゃうかなと思います。

実際のところ、仕事のためにスーツ買って、仕事でしか着てないですしね!

ただ、普段仕事でスーツを着る業種に限られると思いますし、数十万円もする高額なものは微妙でしょうし、
仕事にしか着てませんと言える環境は必要だと思います。

あと、どれだけ毛利が個人的にそう思おうが、実際に税務調査で通る通らないは別の話なのでご注意下さい(笑)

ポイントとしては、絶対経費だという毅然とした態度で、税務調査に臨みましょう!

 

以上!

2代目税理士 毛利進士